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風猫通り三番地ニノ二十三

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路地裏っぽい人が屋根の間の空を見上げる場所。

山本弘「闇が落ちる前に、もう一度」

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 その筋では何かと物議を醸す作家(ある時はと学会の会長、ある時は純正ロリコン、またある時はTRPGロードス島戦記のディー(ry))であるところの山本弘のホラー短編集でした。小説のホラーはじわじわ怖いというのが王道なわけですが、これも多分に漏れず良い感じ。そして上記の通り名どおりの要素でもって構成された作品群は、ある人には心地よい恐怖感を、またある人には生理的嫌悪感を与えるだろうなと。古いSFファンとかは「アイデアが古くさい」とかって叩くかも知れないけれど、エッジが尖ってないとSFだというのもねぇ。古き良きネタを上手く使いまわすのも商業作家の能力だと思いますが。ともあれ、まぁハードSF大好きな人なので(ソードワールトTRPGリプレイで瞬間移動するゲートや飛行機もどきを出したのはこの人ぐらいなもんだ)、論理基盤のしっかりしたところをきちんと理解するのが面倒くさい人は駄目かもしれない。個人的には一番物語として流れが美しい上、寂しくも清涼感の残る「審判の日」が良かったです。大作「神は沈黙せず」よりも面白さが抽出できている気がするので、逆にこれから入ってあちらを読むとげんなりするかも知れない。ちなみに「アイの物語」は未読です。

 しかし・・・90年代初頭、「サイバーナイト」「時の果てのフェブラリー」なんてマイナーな作品を読んで、「山本弘もSFマガジンに書けばいいのに」なんて思っていたら、今では日本SFを代表する作家の一人になってしまいましたよ。人生何があるか分かりませんねぇ。
 でも、こないだポコニャンに借りた山本弘&岡田斗司夫&田中公平のオタク対談集はイタかったなぁ。僕も救いようのないオタクなので、ああいう話題が面白いのは分かってるんですが、下世話な話を活字でまで読みたくないというかw オタクというのはオタク同士で群れつつもその中にある微妙な差異にプライドを持つもので、知らないことをひけらかしたくなるという一面が多分誰にでもあると思うのですが。年の行ったオタクはそれに際限がないからきつい。まぁ自戒を込めて書いておりますが。
 この三人とも、勿論それなりにきちんと業績を残していて、それぞれに僕自身面白かったり感動したりしたこともあるから、それだけにゲンナリでございました。作品と作者のパーソナリティは一緒くたに評価したくないという思いが一段と強まる今日この頃(難しいけどね)。
by kazasiro | 2007-10-17 20:21 | 雑記

by 風城一希