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風猫通り三番地ニノ二十三

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路地裏っぽい人が屋根の間の空を見上げる場所。

#8のドライバータイトルおめでとう。

 今夜はマニアックな話。

       ※

■ 【SUPER GT 07】伊藤・ファーマンのNSXが優勝、シリーズチャンピオンに!

 昨日、大分のオートポリスで行われたスーパーGT第8戦で、GT500クラスのカーナンバー8,ARTA NSX(ホンダNSX・伊藤&ファーマン組)が買って、最終戦を待たずにチャンピオンになった。ホンダとしては2000年以来七年ぶりのタイトル奪還となった。
 このレース、シリーズを最後まで盛り上げる為に「勝った車には重りを乗せて遅くし、連勝の可能性を下げる」「ルールによって車の性能を大体揃える」「二つのクラスが入り乱れて走る」という大前提の元で行われるハンデ戦である。また、その一方で国内では唯一、トヨタ・日産・ホンダが開発競争をしていわゆる「ワークス対決」と称される状態にあり、レースカーの開発競争も依然として続いている(ちなみに、開発費の高騰でレースカテゴリが崩壊の危機に瀕することがたびたび発生している上、自然環境への配慮などにも鑑み、世界的に車の開発競争は低下傾向にあり、同じ車・エンジン・タイヤを使うワンメイクのレースが主流に成りつつある。膨大な金を使うF1であっても、徐々に開発出来る部分が減ってきているのが現実なのである)。運営組織は独立したものということになっているが、結局巨大メーカーが投資しないとレースというのは繁栄しないので、ルールもメーカーの意向を汲んだものになりやすい。ここで、各メーカーの暗闘が丁々発止と行われ、「性能調整」という言葉の元、一部の車種が理不尽なハンデを負わされたり、ルール上の判定が覆ったりということが過去ままあったりした。車に関するレギュレーションは、どのカテゴリでも不透明な物で、一概にいうことはできないのだけれど、S-GTは特に「八百長」だとか「レースの形をした筋書きだらけのショー」なんていう悪口が公然と叫ばれる理由の一つである。
 そんな中、今年のチャンピオンは連勝出来ないシステムの中で8戦中3勝、しかも昨日の勝利は上限が決まっているウエイトハンデを全部積みながら(正確には違うのだけどまぁ細かいので略)、優勝という最上の結果を出している。ドライバーの腕も流石だし、運も味方した。でも、今年に関してはルールを馬鹿っ早い車の性能がねじ伏せたという印象が強い。F1を観た方は経験したことがあると思うけれど、一位の車が独走するレースというのは正直退屈なものだと思う。でも、某友人が言った「速い車が強く勝つ」というのは、モータースポーツでは非常に正しいことなのだ。特に、こういう隠れた要素がぐちゃぐちゃ多いGTで、こういう結果になるというのが素晴らしい。特に前年のチャンピオン決定が、レース後のペナルティ絡みで講義した結果取ったポイントで、それも僅か一ポイント差で決まってたという、なんとも腑に落ちない状況だったので、今年は気持ちいい決まり方でよかったなと。GTの歴史が10年以上ある中で、チャンピオン決定戦が最終戦にならなかったというのが今回初めてだということが、いかにNSXが速かったかという証左ともなると思う。
 再来年にはS-GTはルールが大きく変わり、今回話題にしているGT500クラスに於いては、エンジンと駆動形式が各メーカーで同じ物に統一される予定(FR,V8で3.5Lレシプロエンジン)。これも開発費抑制にまつわる話で、早い話がむかしあったシルエットフォーミュラみたいなものになるということ。でも、同じ物を同じように作れといった場合、案外大きな差が出てしまうんだけどなぁ。今年ワンメイクタイヤになったF1なんて、前の4台だけ別クラスになってるし。
 ま、こういう方向性だと、多様性を持つべき世界のGTレースから離れ、日本専用にどんどん奇形化していく訳なのだけれど・・・とにかくどういう形であれカテゴリ続くことが認知度の向上に繋がると思うし、次の何らかに繋がることにもなる。継続は力なりというけれど、自動車レースを続けるというのは本当に難しい。費用の問題は勿論のこと、事故の問題もある(1977年のF1富士で死亡事故が出て以来、日本にF1が帰ってくるまで10年掛かったのは有名な話。GTでも98年に太田哲也選手がとんでもない事故に遭って全身火傷、裁判沙汰にもなった)。昨日のレースでも安全面で重大な問題があるシーンも見られ、ひやっとさせられた。いまだにS-GTが抱える問題は山積みだと思う(他のカテゴリと比べても釈然としないことは多い)。ただ、全くもって人気のない国内モータースポーツの最後の砦としてS-GTがある以上、運営も参加者もメーカーも、なんらかの危機感をもっている筈(安穏としてたら終わりまっせ)。こちら側の素人にも見えてしまうヤバイ部分を少しずつ切り落として、まだまだ盛り上げていって欲しいと思う次第。GTがないと路頭に迷うレーサーも多そうだしね。
 あと、本当に露骨なハンデ加算はやめた方がよい。特にシーズン中の性能調整は駄目駄目。萎えるから。その点でも、今年の運営は空気を読めていて良かった。
by kazasiro | 2007-10-15 22:23 | モータースポーツ・車

by 風城一希